都市部の「景観権」で初のマンション撤去命令

東京都国立市の「大学通り」に明和地所(同渋谷区)が建設した高さ44メートルのマンションをめぐり、周辺住民ら50の個人.団体が、景観権の侵害などを訴えていた訴訟で、東京地裁は2002年12月18日、住民側の請求を認め、市条例が定めた高さ制限を超えた20メートル以上の部分の撤去を命じた。宮岡章裁判長は「特定地域内の景観利益は法的保護に値し、マンション建設は耐えられる限度を超える権利侵害。金銭賠償では救済できない」と述べた。明和によると、このマンションには既に90世帯が入居しており、既存の建物の撤去命令は極めて異例。判決は「地域内で相当の期間、人工的な景観が保持され、付加価値を生み出した場合には、所有者は景観維持を相互に求める権利を持つ」と、都市部での「景観権」を法的保護の対象とする初判断を示した。

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