書籍電子化で初の著作権侵害判決

本や雑誌の内容をスキャナーで読み取って電子データ化する作業を請け負う「自炊代行」が、著作権侵害に当たるかどうかが争われた訴訟の判決で、東京地裁は2013年9月30日、作家の浅田次郎さんら七人の請求を認め、東京都内の二業者の複製を差し止めた。大須賀滋裁判長は「個人利用目的の複製とはいえない」と著作権侵害を認め、業者側に計140万円の損害賠償も命じた。自炊代行業者は全国で百以上あるとされ、個人から手数料を受け取り、本の背を切ってページごとの内容を複製して電子データ化している。データを違法販売した代行業者が有罪判決を受けた例はあるが、代行そのものの適否についての司法判断は初めて。大須賀裁判長は判決理由で「顧客は書籍を送った後の作業に関与していない。業者が中心的に複製をしており、私的複製ではない」と判断。作家側の警告後も複製を続けており今後も権利侵害の恐れがある、と差し止めの必要性を認めた。

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