初のiPS臨床研究手術を実施

人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使って目の難病治療を目指す理化学研究所などのチームは2014年9月12日、iPS細胞から作った網膜細胞を患者に移植する手術を先端医療センター病院(神戸市)で実施したと発表した。iPS細胞は体のさまざまな細胞に分化できる万能細胞の一種。iPS細胞が臨床に応用されたのは世界初で、再生医療での実用化に向けて大きな一歩となった。理研などによると、移植手術を受けたのは「滲出(しんしゅつ)型加齢黄斑(おうはん)変性」という目の難病で、既存の治療法では効果がなかった患者。自分の皮膚細胞から作ったiPS細胞を使って、網膜の働きを助ける網膜色素上皮細胞を作り、シート状に加工して病変部に移植した。チームは2013年2月、厚生労働省に臨床研究の実施を申請し、同7月に承認。厚労省の審査委員会は2014年9月8日、使用する細胞の安全性に問題はないとして移植を了承した。

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