国産初のヒトES細胞が完成

神経や臓器などの多様な細胞に成長する能力を秘めたヒトの胚(はい)性幹細胞(ES細胞)づくりに取り組んできた京都大再生医科学研究所は2003年5月27日、国産初のES細胞ができたと発表した。早ければ10月にも全国の研究機関に無償で分配できる見通し。ヒトES細胞は1998年に米国で初めてつくられ、欧米やアジアの各国では自前の細胞で研究を進めているが、日本はこれまで輸入するしかなかった。国産化により、臓器や組織を修復する再生医療の研究が急速に進むとみられる。同研究所によると、ES細胞は受精卵の分割過程の「胚盤胞」と呼ばれる段階で、一部の細胞を取り出し、培養するなどして作成する。同研究所は2003年1月、不妊治療を受けていた夫婦から治療に使用しなかった約10個の凍結受精卵の提供を受け細胞づくりを開始。胚盤胞まで育ったのは1個だけだったが、そこから増殖させた。

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